長年お酒を飲み続けてきて、アルコール依存症になっていると思う。
お酒を飲むのをやめてから色々な離脱症状が
出ているけれども、これはいつまで続くのだろう?
こんな疑問について考えてみます。
目次
アルコール依存症とは
大量のお酒を長い間飲み続けることで、
お酒がないといられなくなる症状がアルコール依存症になります。
お酒を飲み始めるきっかけは様々です。
大学生の飲み会、仕事での付き合い、
理由はなく、なんとなく飲んでみるか、と。
初めのうちは単なる習慣のつもりで飲んでいるものが、
だんだんお酒に頼っていき、
それまでの量では酔うことができなくなってくる。
酔うことができないから、気持ちが楽にならなかったり、
眠れなかったり、満足できなかったりする。
そして、だんだん飲酒量が増えていく。
時間や場所を選ばずにお酒が飲みたくなり、
飲み始めたらやめられなくなる。
そのような状況が慢性的に続くことによって、
男性の場合は20年以上、女性の場合は10年以上かけて
アルコール依存症が形成されていきます。
アルコール依存症の症状
アルコール依存症は「否認の病」といわれるように、
本人は病気であることを認めたがらない傾向にあります。
また、一度断酒することができても、その後一度でも飲むと、
また元の状態に戻ってしまうので完治させるのが難しい病気です。
ただ、アルコール依存症は早期に治療を始めれば
それだけ治療の効果が上がりやすい病気なので、
アルコール依存症の症状がでたならば
すぐに病院に行くことがオススメされます。
飲酒のコントロールができなくなる【アルコール依存症の症状①】
「飲み始めると止まらない」
「酔いつぶれるまで飲んでしまう」
「だらだらと長い時間飲んでしまう」
などお酒を飲みだすと止まらなくなってしまいます。
常に飲んでいたいという欲求にかられ、
「お酒を飲むべきでない時にも飲みたいと強くおもう」
「いつも手元にお酒がないと落ち着かない」
「数時間ごとに飲酒するという連続飲酒をする」
というように、常にお酒が頭の中にある状態になります。
離脱症状がある【アルコール依存症の症状②】
アルコールを摂取した状態に体が慣れてしまい、
体内からアルコールが切れてくると離脱症状が生じます。
身体症状としては以下のようなものが挙げられます。
「手の震え」
「発汗」
「吐き気」
「嘔吐」
「心拍数の増加」
「高血圧」
精神症状としては以下のようなものが挙げられます。
「不眠」
「不安」
「イライラ感」
ただ重症になってくると上記のものにくわえて、
幻視や幻聴、意識消失を伴う痙攣発作などが起こってきます。
アルコール依存症の離脱症状はこのようなものが体に現れる症状です。
お酒を常に飲んでいる状態というものは、
個人の体だけでなくコミュニティという視点からも多くの問題をはらんでいるため、
体の影響に加えて組織にも影響を与えます。
仮にうまく隠せたとしても、
頭が働かなかったり、職場でミスが生じてしまったり、
もし誰かに気づかれてしまったら大きく自身の信用を傷つけてしまうでしょう。
家庭で信用を傷つけてしまった場合、
家庭の不和、別居、離婚など
お酒が原因となって周りに与える影響は甚大なものがあります。
アルコール依存症は離脱症状や治療はいつまでかかるの?
アルコール依存症の方がお酒を飲むことをやめると、
数日で身体的に離脱症状が起こってきます。
やめようとしても、空腹や喉の渇きにも例えられるような、
生理的欲求としての飲酒欲求がおこります。
その離脱症状自体は1週間程度で多くの症状はなくなっていきます。
しかし、アルコール依存症という病気は治すことができません。
減らせばいいのではないかと思われる方もいるかもしれませんが、
一旦お酒をやめても、その後に一度でも飲むとまた元の状態に戻ってしまうのです。
アルコール依存症を治す=断酒ということになるのです。
アルコール依存症を克服するまでの道のりは非常にけわしく、
実際に断酒ができている方は全体の2割ほどのようです。
アルコール依存症の治療方法
アルコール依存症は治すことが非常に難しい方法であるからこそ、
治療の方法としては入院治療が一般的になります。
お酒が一切飲めない環境で同じアルコール依存症の方と一緒に
がんばって飲まないようにリハビリをしたり、
考え方を変えたりするのです。
入院治療の要素は以下の3つ。
・解毒治療
体と心に起きている合併症の治療と、離脱症状の治療。
・リハビリ治療
個人精神療法や集団精神療法で、本人に飲酒問題の現実を認識して断酒の決断へと導く。
退院後のリハビリ治療を視野にいれて自助グループへの参加なども始める。
本人や家族に十分な説明をしたうえで抗酒薬の投与も開始する。
・退院後のアフターケア
a) 病院・クリニックへの通院、b) 抗酒薬の服用、c) 自助グループへの参加、
という「アフターケアの三本柱」を継続する。
というものになります。
とはいっても必ずしも、
入院したからといって治るものではありません。
多くの方はその後飲み始め、また入院をするということを繰り返しています。
断酒を継続させるために、断酒会やあるアルコホーリクス・アノニマスなどがあり、
本人やその家族が同じ立場の人たちと交流し、断酒継続の助けとなっています。
実際のところ、家族の痛みを知り、自身が強く断酒を
行うことを誓い続けることができないと、
断酒を行うことはできないので、このような組織は非常に重要になってきます。